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『中央研究所紀要』 第3号

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第3号 [平成5年] (1993年3月25日発行)

行刑施設における職業訓練修了者の成行-これまでの研究成果を踏まえての一考察 PDF(946MB)
水上好久,松田淳,久米康治,高橋博,江口伸司
【要旨】
今回発表したものは,職業訓練修了者の成行調査のために,過去の同種の研究の結果を検討したものを紹介したものである。
過去の成行調査では,
  1. 再入率を調査し,職業訓練を受けなかった者の再入率と比較検討したもの
  2. 職業訓練で受講した種目と釈放後就職した職種が一致したか(以下「定着率」という。)の調査研究
の二つに大別できる。
再入率の調査としては,昭和31年度・32年度の全職業訓練修了者の調査がある。この調査では職業訓練修了者の再入率は低いとされている。
その後全職業訓練修了者の再入率の調査は実施されていないが,総合訓練のみを対象とした昭和62年の調査では,同時期のA級系受刑者と再入率においてほぼ等しかったと報告されている。
定着率については,全国的な調査はなく,施設独自のもののみであり,かつ調査方法も釈放者本人へのアンケート方式によるため,確実な状況把握がされない等の問題はあるが,70%を越える例(佐賀・自動車運転科-昭和32年,函館・船舶職員科,同自動車整備科-いずれも昭和48年)の報告がある。
しかし,定着率はその時の経済状況や地域差等に大きく影響されるので,今後,長期継続的にデータの蓄積を図る方法が検討されなければならない。
少年院の長期処遇における適切な職業補導種目の選定と職業訓練修了者の成行に関する研究(その1) PDF(1.15MB)
藤原正,水野周,小島賢一,泉俊幸,新江正治
【要旨】
第1編には研究の目的と方法を,第2編には職業補導種目の選定に当たって考慮すべき事項を,第3編には出院者の成行調査実施上の留意点について,それぞれ記述している。
少年非行発生と地域の特性との関連に関する研究 PDF(1.80MB)
佐藤和夫,小島賢一,奥村晋,萩原惠三ほか
【要旨】
少年非行発生状況と地域特性との関係を検証することを目的とし,愛知,三重,岐阜の三県を40地域に分け,昭和62年から平成3年までの5年間の非行発生状況を調査した。
各地域の非行発生率の順位は年によって変動があり,全地域に一定の傾向を認めることはできないが,16地域については非行多発地域ないしは低発地域としてとらえることが可能であった。また,検討の結果,5年間の平均非行発生率は,ほぼその地域の非行発生の状況を表していると考えられた。
次に,40地域共通の経済的・社会的指標28を選び,主成分分析を行ったところ,4つの主成分が得られた。第1は店舗の集中度など商業化を示す成分,第2は若年者主体の産業構造を示す成分,第3は人口集中・都市型傾向を示す成分,第4は地域の成長率に関わる成分と考えられる。さらに,これらの合成変数と全刑法犯の非行発生率との重回帰分析を行った結果,第1主成分と第4主成分が非行発生率の予測に役立つことが分かった。前者は非行発生率と順相関,後者は逆相関の関係にある。この2つの主成分を直交軸とする図上に各地域を位置づけて検討すると,実際の非行発生率とプロットの位置はおおよそ合致するが,いくつかの地域については,今回得ることのできた主成分のみでは説明が困難であった。
今後,この種の研究・調査を行うときは,文化的・地理的指標も加えて,より総合的な検討を行う必要があろう。
被収容者の更生意識に関する研究(矯正管区との共同研究  最終報告)
その1  刑務所での調査結果から PDF(664KB)
藤原正,小島賢一,小林京子
【要旨】
本研究は平成元年より行われてきた「更生意識に関する管区との共同研究」の最終報告となり,本稿では刑務所での調査結果を述べた。まず全体を集計し,中間報告時点での結果と比較したが,それを覆すような結果は得られなかった。次に更生意志のない者の特徴を探った結果,収容者のごく一部であるが,反社会性集団と関わりが深く,過去にも更生失敗体験を積み,社会復帰後の見通しもなく,施設の処遇に対して否定的な見方をするといった大きな問題を抱えていることがわかった。しかも,それらの要因は複合して更生意志に影響を与えている。更に更生意志がある者の更生への自信をみたが,年齢が上がるほど,社会や施設への適応力があるほど,犯罪性が進んでいないほど、社会復帰に見通しがあるほど,自信が促進されることがわかった。
本調査の範囲では,意志・自信と更生事実の関係,影響を与える要因と意志・自信との因果関係を実証することが困難であり,今後,その方向での検討が必要である。

その2  少年院・少年鑑別所での調査結果から PDF(786KB)
藤原正,小島賢一,小林京子
【要旨】
前回(藤原他,1992)は,一部の管区のデータをもとに,少年院・少年鑑別所の少年における改善更生の意識について報告したが,今回は全国レベルで収集したデータをもとに,改善更生を促進したり阻害する要因を抽出するとともに,それらの要因がどのようなものに影響されているか考察することを目的として,分析が行われた。その結果,改善更生を促進する主成分としては7主成分(学校受容因,便宜供与因,家族受容因,厳格指導因,自己意志因,友人受容因,好条件因),阻害する主成分としては6主成分(不良者誘惑因,劣等条件因,疎外・虐待因,過干渉厳格指導因,孤立・無支援因,遊興刺激因)が抽出された。なお,それぞれの少年がこの13主成分にどのように反応するかを調べたところ,非行進度や彼らを取り巻く環境によって,各主成分への重きの置き方が異なることが明らかになった。加えて,何を更生に役立つと感じたり疎外と感じるかによって,改善更生に関する様々な意見にも差がみられることが示された。
タイ王国・大韓民国・日本の非行少年の家族比較-家族調査の結果から PDF(585KB)
佐藤和夫,小島賢一,奥村晋,小林京子
【要旨】
タイ王国・大韓民国・日本の非行少年の親子関係について,質問紙調査の結果をもとにその差異を検討することを目的とした研究である。各質問項目への反応特徴に対して,上記3国について男女別に比較した後に,その項目を主成分分析を用いて分析したところ,4主成分が抽出された。母子間の心理的交流に関する主成分では,3国間に有意差はなかったが,母親に対する従順性に関する主成分では,タイ王国,大韓民国,日本の順に従順でなくなること,加えて,タイ王国では,男子よりも女子の方が従順なのに対して,大韓民国や日本では,男子の方が女子よりも従順であることが明らかになった。父子間の心理的交流に関する主成分では,大韓民国,タイ王国,日本の順に交流が乏しくなる傾向がみられ,加えて,タイ王国では,女子の方が男子よりも交流が多く,大韓民国では,あまり性差がなく,さらに日本では,女子の方が男子よりも交流が乏しいことが明らかになった。父親に対する従順性に関する主成分では,日本が,他の2国に比べて,父親に従順でないことが示された。最後に,同じ内容を尋ねている父親に対する質問項目への回答と母親に対する質問項目への回答にどの程度の差があるかを検討する目的で,同一被験者に対する2項目間の差を調べたところ,概して,父親よりも母親に親和していることが示されたが,男女いずれがより親和しているかについては,国によって異なることが明らかになった。
大韓民国少年施設被収容者の家族画について PDF(1.33MB)
佐藤和夫,奥村晋,鷹村アヤ子,石黒裕子,藤掛明
【要旨】
本研究は,大韓民国の少年施設被収容者の描いた家族画の特徴を明らかにすることで,今後家族画を用いた臨床や研究の基礎となる資料を提供することを目的とした。
まず,家族画の徴標の出現調査を行い,それを同様の日本の調査結果と比較した。次に,家族画の主要な徴標の出現パターンを,林の数量化Ⅲ類により分析し,男子を4類型(成分),女子を3類型(成分)抽出した。ただし,各類型と対応する臨床像の情報(描き手の実際の家族情報)が十分に得られず,家族画の特徴の意味付けを行うことはせず,あくまでも描画徴標の特徴を明らかにすることにとどまった。
調査の結果,男女共通して,「戸外」「家屋」の描写が多く,「娯楽・散歩・作業」を行う家族像が多く出現していた。日本の室内の団らん画とは対照的に,屋外での何か目的のある行為が描かれることの多いことが明らかになった。また,パターソ分析では,男子は,(1)背景のない棒立ちの家族,(2)戸外にいる母親を中心とした小さく描かれた家族,(3)室内の家族,(4)親以外の人物を強調する家族,女子は,(1)登場人物の動きが同一でない家族,(2)親以外の人物を強調する家族,(3)登場人物の動きが同一の大きく描かれた家族,の各類型が得られた。

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