矯正図書館中央研究所紀要>第20号


『中央研究所紀要』 第20号

第16号 第17号 第18号 第19号 第20号
第11号 第12号 第13号 第14号 第15号
第6号 第7号 第8号 第9号 第10号
第1号 第2号 第3号 第4号 第5号

*ページ数が多いため、資料等は分割しています。クリックしてご覧ください。*

第20号 [平成22年] (2010年12月15日発行)

刑事施設における被害者の視点を取り入れた教育に関する研究(その2)
 ○本文 pp.1-47 PDF(13.1MB)
 ○別添資料・付録(評価ツール「評価の手引(案)」) pp.48-119 PDF(15.6MB)
佐藤良彦,多田一,川邉譲,藤野京子,坂井勇,立石浩司,東山哲也
【要旨】
本研究では,刑事施設における被害者の視点を取り入れた教育について,その教育効果の検証方法の検討を目的に,昨年度に引き続き調査研究を実施した。今年度は,昨年度の実態調査の結果を踏まえて,調査票1(SCT),調査票2(質問紙)及び調査票3(ロールレタリング)を用いた刑事施設への調査を実施した。調査票1ないし3における第一次調査の分析結果を元に評価ツールの原型を3種類作成し,それらの評価枠組みを用いて第二次調査のデータを分析することにより,R4の教育効果を測定することを試みた。さらに,その結果を踏まえて,R4の効果検証を実施する際に参考となる評価ツールである「評価の手引(案)」を作成した。
調査票1について,テキストマイニングの手法により,反応から抽出された各カテゴリーについて,R4受講前後で有意差の見られるものが多数あり,それぞれについて論理的に考察を加えたところ,いずれもR4の教育効果として肯定的に評価できる内容であり,R4の教育効果が示された。そして,この結果を踏まえた評価ツールとして,第一次調査で用いた調査票1に,評価の着眼点を添付した「評価ツール1」を作成した。
調査票2について,受講者を性別,A/B指標の別,交通/非交通犯の別,被害者既知/未知の別,被害者死亡/非死亡の別で群分けして分散分析を行ったところ,中和の尺度,謝罪の動機尺度,謝罪の実施意思尺度において,それぞれ群に関係なく受講前後で有意差が見られ,R4の教育効果が認められた。また,各群による差が見られる尺度もあった。そして,この結果を踏まえた評価ツールとして,第二次調査で用いた調査票2を修正し,評価尺度に関する説明を添付した「評価ツール2」を作成した。
調査票3について,受講者を受講前後に分けて 検定を行ったところ,設定した評価項目の合計得点及び各項目の得点において有意差が見られ,R4の教育効果が認められた。そして,この結果を踏まえた評価ツールとして,第二次調査で用いた調査票3に,ロールレタリング評価シートを添付した「評価ツール3」を作成した。
本研究は,R4の効果検証に関する基礎的な研究であり,その成果物としての評価ツールである「評価の手引(案)」については,作成途上の段階に位置しているため,今後,処遇現場の実態に即した更なる修正・改良を加えた上で,教育効果の測定等を実施する際の一つの資料として活用されていくことが期待される。
刑事施設における教科指導に関する研究 PDF(12.5MB)
多田一,東山哲也
【要旨】
本研究では,全国の刑事施設における教科指導の実施実態を把握するとともに,種々の理由により同指導の枠には含まれないものの,各施設において様々な形で実施されている教科に関する指導・援助等をも幅広く調査し,刑事施設における教科に関する指導等の全体像の把握を試みた。また,教科指導受講者の指導受講による変化,教科の指導に関するニーズ等についても調査し,これらをもって,刑事施設における教科に関する指導の充実強化に資する材料を提供することを試みた。その結果,補習教科指導については,68庁(教科指導不実施としながらも具体的なコース内容については有効回答のあった1庁を含む)で96コース,特別教科指導については23庁で30コースが実施されており,教科指導の枠組み以外でも,クラブ活動・実務講座,通信教育を始め,教科の内容に係る指導等が広範に実施されていることが分かった。また,教科指導受講者に対する調査では,補習教科指導受講者325名(65庁),特別教科指導受講者115名(21庁)から回答を得た。教科指導受講は,学力の向上等の直接的な効果にとどまらず,向学心や自信,積極性等の高まり,生活面や情緒面の安定,自己の犯罪に対する反省の深まりなど,多くの副次的な効果を上げていることが分かった。特別教科指導受講者については,高等学校卒業程度認定試験の合格を始めとして,その他の資格試験や職業訓練,就労支援等につながっている者も多かった。また,教科指導受講者の多くが,学習の継続や発展的な内容の学習(特別教科指導受講者については,通信制大学への入学など)を希望していることが明らかとなった。
少年院在院少年の特質に関する研究-年齢層ごとの比較
 ○本文 pp.265-313 PDF(11.0MB)
 ○調査票・表 pp.314-416 PDF(4.21MB)
佐藤良彦,立石浩司
【要旨】
本研究では,少年院に入院した少年の特質について,少年矯正統計データ及び質問紙による調査により,年齢を軸とした分析を行い,年少・中間・年長少年それぞれの特徴や共通性を明らかにすることを試みた。その結果,まず,年少少年の特質については,主に義務教育段階の中学生の年齢に該当することもあり,その行動範囲は,家庭や学枚の所在する地域社会にある程度とどまる傾向が見られる一方,この年齢層にとって最も重要な居場所であるはずの家庭や学校への不適応が深刻である者も一部に見られ,非行との関連が示唆された。次に,中間少年については,不良交友の延長で,暴走行為など集団による犯罪・非行に走る傾向が見られるのが特徴的であった。また,有職者の割合は高いが,就労に対する自覚や勤労意欲はまだ低く,学校や職場に所属はしているものの,目的意識や帰属意識が十分に醸成されていない状態のまま,犯罪・非行集団内における不良交友を通じて犯罪や非行に走ったと思われる者が多く見られた。そして,年長少年については,他の年齢層,特に中間少年と比較すると,成人共犯の有無,処分歴,非行名やその態様などから,非行が深刻化している傾向にあることが若干認められる一方.生活様式や生活意識,就労状況や職業観などのいくつかの点において,中間少年と比べて成熟し社会的に自立していることを示す指標も見られた。しかし,問題行動歴,学校や職場への適応状況など多くの部分において,中間少年との間に同様の傾向も見られた。

ホームへ 一覧のページへ


Copyright (C) 2003-2017 Japanese Correctiional Association Library, All rights reserved.
<お問い合わせ>